群青の月
何も言えずに戸惑っていると、冬夜がクスッと笑った。


「お前の心臓、有り得ないくらいバクバクしてる」


楽しげな口調の彼は、あたしの心の中を見透かしているに違いない。


「俺の気のせいじゃなかったら、かなりの愛を感じてるんだけど?」


「うっ、煩い……。もう寝るから静かにしてよ……」


反してあたしは、余裕たっぷりな冬夜にそう言い返すだけで精一杯で…


些細な反抗を見せても、顔を上げる事すら出来ない。


喉の奥で笑う冬夜は、きっとそんな事すら見透かしているんだって思った。


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