群青の月
落ち着きを失くして、緊張で眠る事が出来なくなった。


そのせいで胸がドキドキするのを感じながら、俯いたまま息を潜めるようにしていた。


心の奥を燻る感情は悔しさにも似ているけど、不思議と嫌な感じはしない。


これが惚れた弱みってものなら、あたしの症状はすごく深刻だって思う。


だけど…


それも嫌だとは感じない時点で、あたしはもう昔の自分(アタシ)とは違うんだって思えて、何とも言えない微妙な笑みが漏れた。


そんなあたしの気持ちなんて知らない冬夜は、いつの間にか穏やかな寝息を立てて眠っていた。


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