群青の月
タバコを咥えた柚葉は、どこかぎこちない手付きでジッポで火を点けた。


赤々と燃えるタバコの先端から、細い煙が上がる。


ファミレスの天井に向かって一筋の白い線を描いているそれは、進む方向を迷うかのようにユラユラと揺れていた。


柚葉が煙を吐き出す度に彼女の口元に視線を送ってしまうのは、その仕種(シグサ)をすごく綺麗だと感じたから…。


さっきまでその事に気付かなかったのは、不思議だったけど…


明るい所で見ると柚葉のその仕種があまりにも綺麗で、俺は彼女から目が離せなくなってしまっていた。


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