群青の月
「そっ、そんなんじゃ……」


「いえ、大丈夫ですよ」


急に気恥ずかしくなって否定し掛けると、冬夜が見兼ねたように笑ってあたしの言葉を遮った。


「柚葉のお知り合いの方ですか?」


「えぇ。まぁそうは言っても、たまに一緒に仕事をしてるだけなんだけど……」


「そうですか。柚葉がいつもお世話になってます。柚葉の恋人の崎本(サキモト)です」


「ちょっ……!?」


「あら、ご丁寧にありがとう。私は吉岡です」


突然始まった自己紹介に戸惑うあたしを余所に、二人は勝手に話を進めていく。


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