群青の月
「じゃあ、これにするけど」


“これ”と言う言葉を強調しながら柚葉に見せたのは、そのジャケットの雰囲気だけでも甘ったるそうな恋愛映画のケース。


彼女はそれを見た瞬間、あからさまに嫌そうな顔をして眉を寄せた。


その表情に込み上げて来る笑いを、必死に喉の奥で噛み殺す。


そして再び、柚葉の前にさっきの二枚のケースも差し出した。


「どれにする?今なら選択権をあげるけど?」


三枚のケースを見せながら悪戯っぽく笑う俺の質問に、彼女は半ば投げやりな態度で一枚のケースを指差し、またフイッと顔を背けた。


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