群青の月
「畑野(ハタノ)……」


喉に張り付く声を押し出して、俺の目の前にいる相手をグッと睨む。


「……そんなに恐い顔するなよ。俺達、友達だろ?」


「友達……?」


「あぁ。だって俺、お前のお陰で来年から主任になるんだぜ。今は借りてたDVDを観る暇もないくらい忙しいけど、いい友達を持って良かったってつくづく思うよ」


クックッと笑う声に、唇を噛み締める事しか出来ない。


「それより、お前会社辞めたんだって?エリートだったのに、バカだな〜」


そんな俺を、畑野は更に追い詰めるように鼻で笑った。


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