群青の月
◇Side‥柚葉
【Side‥柚葉】
降り続ける雨の音が響く。
どこまでも広がる濁った空のせいで、部屋の中はどんよりと薄暗かった。
「じゃあ、行って来るね」
「やっぱり送ろうか?雨、強くなって来たし……」
「ううん。今日は近いから平気」
「そっか」
返って来る言葉にはどこか抑揚が無くて、薄暗い廊下の空気が益々冷たく感じてしまう。
「じゃあ、気をつけて行けよ」
「冬夜も気をつけてね。後、これ返しとくから」
「悪いな」
眉を下げた冬夜に笑顔を返して、ゆっくりとドアを開けた。