群青の月
エントランスを出ると、無数の雨粒がアスファルトの地面を叩いていた。


土砂降りの雨に、思わずため息が漏れてしまう。


レンタルショップの袋を濡らさないように胸元で抱え込み、ビニール傘を開いて雨空の下に足を踏み出した。


その瞬間から傘を容赦無く叩く雨が鬱陶しくて、雨粒に比例するように心に憂鬱が募っていく。


冬夜の部屋から歩いて5分も掛からない場所にある、この間のレンタルショップ。


結局、ケースを開ける事すら無かったDVDが袋の中に入っているのを確認した後、店の前に置いてある返却ボックスにそれを入れた。


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