群青の月
冬夜が何も話そうとしないのは、きっと言いたくないから…。


それをわかっているからこそ、彼を詮索するような真似はしたくなかった。


『ずっと前から温めて来た企画を、友達だと思ってた同僚に横取りされたんだ……』


思い出すのは、付き合う前に冬夜から聞いた言葉…。


そして…


この間会った畑野って人の言動を考えると、あの男が冬夜の企画を盗んだ犯人だって事は、恐らく間違いないと思う。


それなのに…


不器用過ぎるあたしは、すっかり口数が減ってしまった冬夜を励ます事さえ出来ずにいるんだ――…。


< 759 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop