群青の月
相変わらず雨は降り続けていたけど、その勢いは朝よりも弱まっていた。


吐く息の白さが、冬が間近に迫っている事を告げる。


スーパーを出た時には、まだ夕陽が街を照らしていたけど…


マンションの前に着く頃には、辺りはすっかり暗くなってしまっていた。


もう帰ってるかな?


今日も職安に行くと言っていた冬夜の事を考えていた時、視界に入って来たのは街灯に照らされた高級そうなスーツ。


思わず彼の事を想像して、笑みを浮かべながら顔を上げた。


だけど…


その直後、あたしは息を呑んだ。


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