群青の月
「俺、崎本の事が嫌いなんだ」


畑野が優しげな口調でポツリと呟いた後、ゆっくりとため息をついた。


「俺とあいつは同期なんだけどね、あいつはいつも俺の前を歩いてたんだよ。俺がどれだけ努力したって、あいつはいつだって涼しい顔でそれ以上の結果を出す……」


そこで初めて悔しそうな声を出した彼は、フッと息を吐いて自嘲気味に笑った。


「だから……あいつの持ってるものは、俺が全部奪ってやるんだ。企画も、地位も、それから……」


クスクスと厭らしく笑う声が、静寂に包まれた闇の中に響く。


「君も、ね」


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