群青の月
沈黙の中、時折天井から降って来る雫が湯舟を小さく揺らして、その度にピチャンと音が響いた。


波紋が広がっては、静かに消える。


「……たぶん、柚葉があいつの事を思い出した時くらい、かな」


しばらくして少しだけ自信が無さそうに零された答えは、あたしと畑野の会話のほとんどを聞かれていた事を物語っていた。


いっそ、二人でいる場面を見られていなかったら、隠し通す事も出来たのかもしれない。


そんなずるい事を考えてしまう、愚かな自分(アタシ)。


あたしはもう、体だけじゃなくて、心まで汚れているんだ…。


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