群青の月
胸に溜まった苦しさを堪えて、ゆっくりと口を開く。


「どう……して……?」


「ん?」


あたしが零した疑問に返って来たのは、不思議そうな声。


「話、聞いてたのに……。どうして……優しくするの……?」


震える唇で丁寧な言葉に変え、小さく投げ掛けた。


「そうだな……」


すかさず落とされたのは、どこか考えるような控えめな口調だった。


そして少しの間また沈黙が訪れた後、あたしの首筋にフッと吐息が当たって…


それが冬夜が零した笑みだって事が、何となく雰囲気でわかった。


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