群青の月
「でもな……」


ふと優しげな口調に戻った冬夜が、またあたしの頬に唇を寄せた。


どんな顔をすればいいのかわからなくて振り向く事は出来なかったけど、彼からの頬へのキスを受け入れる。


「その事と、柚葉の事は関係ない」


キッパリと言い放った冬夜を思わず見上げると、彼は目を細めて優しく微笑んだ。


「柚葉とあいつは、“たまたま関係を持っただけ”なんだよ」


「で、でも……」


戸惑いながらも口を開いたあたしを制するように、優しい笑みを浮かべたままの冬夜があたしの唇にそっと人差し指を当てた。


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