群青の月
冬夜の後に付いて、さっき通って来た道を戻る。


その間、あたし達が言葉を交わす事は、一度も無かった。


さっきのビルの近くまで戻って来ると、冬夜は道路に面したコインパーキングに入った。


「これ、俺の車」


入口から三台目の車の前で足を止めた彼は、振り返って笑顔を見せた。


それから車のロックを解除し、助手席のドアを開けた。


「乗れよ」


山奥にでも捨てられるんじゃないかと思いながらも、大人しく助手席に乗り込む。


ドアを閉めた冬夜も、運転席の方に廻って車に乗った。


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