群青の月
「……だから、また俺の前からいなくなったりするなよ?」


「な……んでっ……?」


ボロボロと涙を零して尋ねるあたしに、冬夜が困ったように眉を寄せながら微笑む。


「言っただろ、“愛してる”って……」


そう言って笑う冬夜が、あたしにはあまりにも眩しくて…


「たった、それだけの事だよ」


真っ直ぐにあたしを想ってくれている彼は、あたしなんかにはすごく勿体ないと思う。


だけど…


愚かでずるいあたしは、震える唇に優しいキスを落としてくれた冬夜に、やっぱりただ甘える事しか出来なかった――…。


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