群青の月
「何となく、そうじゃないかと思ってたよ……」


ため息混じりに言うと、柚葉が肩をピクリと揺らした。


カチカチと時を刻む秒針の音が、静寂を割くように響く。


「あいつは俺達がコンビニで再会した日の相手だった、って事だろ?」


目を見開いて俺を見上げた柚葉に、眉を寄せたまま微笑む。


「最後にあいつと話した時、直感でそんな気がしたんだ」


何かを堪えるように唇を噛み締めた彼女の額に、そっとキスを落とす。


「俺はあの時点で何となく気付いてたけど、それでも柚葉と一緒にいたいと思った。だからもう、お前も気にするな」


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