群青の月
しばらくすると、柚葉は落ち着きを取り戻したみたいだったけど…


それでも、俺はいつもよりも強く彼女を抱き締めていた。


瞼を閉じて眠ろうとしてみても、土砂降りの雨音がやけに耳に付く。


脳を揺さぶるように耳を刺激するそれが、睡眠の邪魔をしていた。


柚葉も眠れないのか、彼女から寝息が聞こえて来る事は無かった。


俺達はお互いの存在を確かめるように、ただずっと抱き締め合っていた。


暗闇の中で聞く雨音が、必要以上に不安を煽る。


そのせいで、今夜はずっと明けない気さえする程の長い夜に思えた――…。


< 800 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop