群青の月
◇Side‥柚葉
【Side‥柚葉】
11月下旬になると、クリスマスカラーが街を彩(イロド)り始め、世間はクリスマスに浮足立っているようにも見えた。
普段に増して、派手な装飾が施(ホドコ)された街。
反してあたしは、畑野との一件が心に重く伸し掛かったままで…
冬夜がどれだけ優しく接してくれても、どうしてもそれを払拭(フッショク)する事が出来なかった。
「今日はゆっくりしとけよ?」
「うん」
「俺もすぐに帰って来るから」
「うん、行ってらっしゃい」
いつものように小さく笑って、スーツ姿の冬夜を送り出した。