群青の月
数秒の沈黙の後で冬夜が吹き出したのは、言うまでも無い。


すかさず無言で睨むと、彼は笑いを堪えながらタバコを咥えた。


火を点けた先端から、ユラユラと煙が上がる。


「……あ〜、やっぱり俺が作るから」


冬夜がリビングから出て行った後、あたしはすぐに携帯でだし巻き卵のレシピを調べてみた。


だけど…


トレーナーとスウェットに着替えた冬夜が戻って来るまでに、材料すら把握する事が出来なかった。


結局、彼と一緒にキッチンに並んで作ったのは、買い置きしていたインスタントラーメンだった。


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