群青の月
◆Side‥冬夜
【Side‥冬夜】
いつもと何も変わらない朝だった。
朝食を済ませた俺は、スーツを身に纏って玄関に向かった。
「じゃあ、行って来る」
「うん」
「今日は面接の帰りに職安に寄るから、ちょっと遅くなるかもしれない」
「……わかった」
俺の言葉に柚葉が小さく頷いたけど、その雰囲気が何だかいつもと違う気がして…
「どうかしたのか?」
首を傾げながら訊いて、伏し目がちな彼女の顔を覗き込んだ。
すると、柚葉はまるで何かを隠すようにフワリと微笑んで、首を小さく横に振った。