群青の月
きっと真っ赤になっているであろう顔を、周りに隠すように俯きながら歩く。


だけど…


その足取りはまるで宙に浮いているかのように軽(カロ)やかで、憂鬱な面接の前だっていうのに口元からは自然と笑みが零れていた。


ゲンキンだよな、俺……


心の中で呆れたように呟いてみても、込み上げる嬉しさを隠す事は出来ない。


柚葉の様子にほんの少しだけ違和感を抱いたのは、彼女がキスをしようとしていたからだと勝手に思っていた。


俺は、それが都合のいい解釈だって事に気付かずに、幸せな気持ちで1日を過ごしたんだ――…。


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