群青の月
柚葉を探しに行こう、と思わなかった訳じゃない。


だけど…


それが無意味だって事をたぶん直感でわかっていたから、結局は行動を起こさなかったんだと思う。


呆然と立ち尽くす事しか出来ない自分が、酷く情けなくて。


しばらくしてリビングに戻った時、柚葉がいない現実を冷静に受け止めている自分(オレ)に苛立ちが芽生えて。


怒りに任せてテーブルを殴れば、ダンッと大きな音が響いた。


直後、その角に行儀良く置いてあった茶封筒が、振動でフワリと落ちた。


ほとんど無意識に封筒を手にした俺は、それを開けた。


< 816 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop