群青の月
あたしのせいで冬夜の心の傷が塞がらないのは、自分自身が傷付く事よりもずっとずっと痛い。


彼の言葉を疑う訳じゃない。


だけど…


あたしが冬夜の傍にいる事が彼の傷を抉る事になるのなら、例え自分がどんなにつらい思いをしてもそんな真似だけはしたくないと思った。


こんなあたしなんかの為に、『お前と一緒なら汚れても構わない』って言ってくれた、優しい冬夜。


だから…


あたしは、せめて冬夜の深い傷を少しでも浅くしたかった。


やり方は間違っているのかもしれないけど、どれだけ考えてもこの方法しか思い浮かばなかったから…。


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