群青の月
深呼吸をして、リビングのドアに手を掛ける。


重い足取りで玄関に向かう途中、つい口を開いてしまっていた。


「ごめん……」


本人には聞こえない所で落とした言葉は、ひんやりと冷えた空気に混じって消えた。


ブーツに入れた足が震えそうになって、踏み出した一歩がやけに重い。


それでも、後ろ髪を引かれるのをグッと堪えてドアを開けた。


外は清々しい程の晴天で、青空には太陽が輝く。


まるで旅立ちを祝うかのような天気だけが、あたしの行動に賛成してくれている気がして…


ゆっくり、ゆっくりと足を踏み出した。


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