群青の月
柚葉が俺の傍から離れる事を選んだのは、彼女が俺の気持ちだけじゃ足りない程の深い傷を負っていたから…。


もう、そうだとしか思えなかった。


その事で自分を責める反面、どうしようもなかったんだと言い聞かせる事に必死だった。


そうでもしなければ、柚葉がいない事に簡単に泣いてしまいそうだったから…。


俺は自分で思っていたよりもずっと、彼女の事を愛していたらしい。


心に蔓延(ハビコ)る想いを消す術なんて知らない。


だから…


今はただ、柚葉への想いを抱いたまま過ごす事しか出来なかった。


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