群青の月
◇Side‥柚葉
【Side‥柚葉】
見慣れない番号から電話が掛かって来たのは、冬夜の家を出てから1ヶ月が経った頃だった。
今年も後2日で終わりを迎えようとしている今日まで、あたしはネットカフェやカプセルホテルを点々としながらバイトをしていた。
そんなあたしに掛かって来る電話と言えば、派遣会社からくらい。
だから、その番号とも違う事に戸惑いと怪訝な気持ちを抱きながら、とりあえず通話ボタンを押した。
「はい……?」
電話に出た瞬間、つい冬夜の事を思い浮かべてしまっていた。
だけど、それはすぐに綺麗サッパリ掻き消された。