群青の月
清潔感のある白に包まれた病室は個室で、腕に繋がれている点滴の数が病状の重さを物語っている。


「ざまあみろ、って思ってるんでしょ……」


先に沈黙を破ったのは、嘲笑混じりの母の言葉だった。


「私、もうすぐ死ぬらしいよ。癌なんだってさ。アンタもこれで清々するわね」


開き直ったような口調に、ただ呆然としてしまう。


そんなあたしを余所に、母は苦しげに息を吐きながらも淡々と続けた。


「アンタは、事情を知っても来ないと思ってたわ。あの日からしばらくは電源切ってたし、その後は着信拒否してたでしょ?」


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