群青の月
夜になると、母親が言っていた通り兄貴も帰省した。


「久しぶりだな、冬夜」


「あぁ」


笑顔で俺を見た兄貴に、眉を小さく寄せて笑う。


「本当に久しぶりだね、冬夜君」


兄貴に続いてリビングに入って来た義姉(ギシ)も、フワリと微笑んだ。


「久しぶり、義姉(ネエ)さん」


「もう!『義姉さんはやめて』って、何度も言ってるでしょ。一応、あたしの方が年下なんだから……」


「でも兄貴の奥さんなんだから、“義姉さん”だよ」


わざと肩を竦めながら笑うと、彼女が唇を尖らせた。


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