群青の月
真っ直ぐな視線に心の中を見透かされてしまう気がして、何だか少しだけ恐くなった。


だけど…


視線を逸らせば逃げるみたいで、俺も真っ直ぐ兄貴を見据えた。


固くならない程度に上げた漆黒の髪と、何か強いものを秘めた瞳。


昔からよく似ていると言われた顔は、きっと今もそっくりだけど…


その二つだけは、俺には無い物だった。


そして…


兄貴が持っている肩書も…。


しばらく続いた沈黙を先に破ったのは、いつになく真面目な顔をした兄貴だった。


「お前、うちに来ないか?」


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