群青の月
「バカか、お前は……」


返って来たのは、心底呆れたような表情とため息混じりの言葉。


俺はビールを一口飲んで、怪訝に思いながら眉を寄せた。


「弟だからって、コネ入社なんかさせるか。俺はそんなに甘くねぇよ。いくら身内でも使えねぇ奴なら誘いもしねぇし、例え社員でもそういう奴がいるなら容赦なく切る」


淡々と語るその口調に、自分の兄貴ながら背筋がヒヤリとする。


「お前には、もちろん入社試験は受けさせる。ただ、面接はしない。お前の性格は社長の俺が一番よく知ってるから、そんなもん必要ないしな。その代わり……」


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