群青の月
一度言葉を止めてビールを飲んだ兄貴が、意味深にニヤリと笑った。


「企画を用意しろ」


「は……?」


そう言って差し出されたのは、兄貴の会社名の入った茶封筒。


「これはな……」


俺は不思議に思いながらもそれを受け取って、兄貴を見た。


「お前がうちでバイトしてた時に作った企画書だ。あの時のお前にはコストの事を考える頭なんてなかったから、そのままじゃ使えたもんじゃねぇけど……」


兄貴はどこか楽しげにしながらも淡々と話し、またビールを飲んだ。


「今なら、それも踏まえて作り直せるだろ?」


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