群青の月
「……母親がさ、ホスピスに入る事になったんだ」


「え……?」


「末期癌なんだって」


吉岡さんは、あたしが母子家庭で育った事は知っているけど、あたしと母の間に何があったのかは知らない。


「よくわからないけど、もうあんまり永(ナガ)くないみたいで、担当医に勧められてホスピスに移る事になったの」


だからだと思うけど、冷静に話すあたしの事をを不思議そうに見ていた。


「あたしも、まだ知らされたばっかりなんだけどさ……。何かあったらとりあえずあたしがホスピスに行くしかないから、その近くに引っ越す事にしたんだ」


< 869 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop