群青の月
同情じゃない、とは言い切れない。


『見捨てる事も出来ない』なんて言ったけど、その感情は死を目前にした母を見て芽生えた、ただの“綺麗事”なのかもしれない。


それでも、あたしには正解を見付け出す事なんて出来なくて…


自分が口にした言葉を、そのまま自分自身の答えにするしか無かった。


冬夜と出会っていなければ、あんな母親の事なんて簡単に見捨てる事が出来たし、今の状況に喜びすら感じたと思う。


人の死を喜ぶ事が、酷く醜い感情だってわかっているけど…


あたしは、きっともう母を許す事は出来ないから――。


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