群青の月
その後は他愛のない話をして、冷めてしまったコーヒーを惜しむように飲み干した。


「……そろそろ行かなきゃ」


「そう……」


「引っ越し屋の荷物の搬入が終わる前に、あたしも向こうに着かなきゃいけないんだ。それに、まだ細かい手続きも残ってるし」


「本当に急だったのね……」


「うん。でも、引っ越す前に吉岡さんと会えて良かった」


「おばさんも、柚ちゃんと会えて嬉しかったわ」


その言葉に微笑みを見せると、吉岡さんが心配そうな表情になった。


「ねぇ、柚ちゃん……。一人で大丈夫?」


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