群青の月
「俺はずっと、お前の目標であり続ける為に頑張って来た」


静かなオフィスに、兄貴の声が落ちた。


「……お前がずっと、俺を追い掛けてくれてたようにな」


その言葉に目を見開くと、兄貴がフッと笑った。


「出来のいい弟を持つと、兄貴は中々大変なんだよ」


兄貴は口下手な所があるから、そんな風に思っていたなんてちっとも知らなかった。


嬉しい反面、喜びが込み上げて来た事を悟られるのが照れ臭くて…


「出来のいい兄貴を持った弟の方が、もっと大変だけどな」


平静を装いながら、冗談めかして言い返した。


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