群青の月
「お前、空が好きなのかと思って」


「え……?」


冬夜の答えに、小首を傾げて声を漏らした。


「会社の屋上でもファミレスでも、柚葉はずっと空を見てただろ?だから、そう思ったんだけど……」


一呼吸置いた彼が、続けて控えめに口を開いた。


「やっぱり違った?」


あたしが空を好き……?


あまりにもバカバカしい言葉に呆れ返って、もう鼻で笑う事すら出来ない。


「嫌いだよ、空なんて……」


あたしは冬夜の質問をため息混じりに否定し、ゆっくりと空を仰いだ。


< 88 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop