群青の月
言葉通り、兄貴は俺の心の中を見透かすように笑った。


その表情を見て、やっぱり兄弟なんだという事を思い知る。


俺はシラを切る事を潔く諦め、ため息混じりの苦笑を漏らした。


「本当は弱いくせに、すっげぇ強がりな女だよ。傷付いてばっかりだったのに、それを誰にも見せないように生きて来た奴なんだ……」


言葉にしただけで溢れ出す想いは、ちっとも褪せていない。


「俺が守りたかった……。だけど、そんなのはただの綺麗事だったのかもしれないな……」


ガラス一枚を隔てた夜空を仰いで、独り言のように呟いた。


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