群青の月
◇Side‥柚葉
【Side‥柚葉】
引っ越しから1ヶ月以上が経った2月下旬、冬が役目を果たしたかのように終わりを迎えようとしていた。
あたしは、やっと新しいワンルームのアパートで生活する事にも慣れ、バイトとホスピスに通う日々を送っている。
「これ、着替えね」
そう言いながら棚に片付けると、母が息を小さく吐いた。
「悪いわね、いつも……」
ホスピスに移ってからの母は、いつだって穏やかで…
今までそんな姿を見た事が無かったから、未だに驚きと戸惑いを隠せなくて、いつだってどうすればいいのかわからなかった。