群青の月
やっぱりどんな言葉を返せばいいのかわからないまま、いつものようにベッド周りを片付け始める。


朝から夕方までは派遣のバイトをして、その足でホスピスに訪れる事が日課になっている。


だけど…


母と会話をするなんて考えられなくて、ここに来るのはいつも面会時間が終わる30分程前だった。


「じゃあ……」


荷物を持ったあたしを、母が眉を寄せて見つめて来る。


「柚葉……。ごめんね……」


「別に……」


申し訳なさそうにも見える母から視線を逸らし、逃げるように病室を後にした。


< 888 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop