群青の月
母が謝罪をするのは、たぶんあたしがホスピスに行っている事に対してだけじゃない。


そこにはきっと、母が今まであたしにして来た事への謝罪も込められているんだと思う。


だけど…


どんなに謝罪を重ねられても、あたしはやっぱり母を許す事は出来ない。


だから…


母の口から謝罪の言葉が零される度に、どうしてもやり場の無い気持ちが押し寄せて来るんだ…。


きっと、母はこれからもあんな風に謝罪の言葉を口にするんだろう…。


対してあたしは、こうして短い時間をホスピスで過ごす事しか出来ないと思う――…。


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