群青の月
フワフワのブランケットとペットフードを入れる為のケースを残し、あたしを見上げる子犬をそっと抱き上げる。


「寒くない?部屋に入れてあげたいんだけど、ここペット禁止なんだよね……」


嬉しそうに尻尾を振るその姿に、何だか切なくなった。


「引っ越したいんだけど、今は金欠だし貯金もないんだ……。ごめん……」


この子犬は、引っ越して来てすぐにホスピスの帰りに見付けた。


出会った時よりも少しだけ大きくなって、もうすっかりあたしに懐いている。


「お金が貯まったら、アンタと一緒に住める所に引っ越すからね」


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