群青の月
話を理解しているのか、子犬はあたしの鼻先をペロペロと舐める。


「だから、もうちょっと待ってて」


「アンッ!」


目を細めて言うと、まるで返事をするように子犬が小さく鳴いた。


「……そういえば、まだ名前決めてなかったね」


ハッハッと息を吐く子犬を見つめ、似合いそうな名前を考えてみる。


「冬夜……なんてね」


ガラにも無く感傷に浸る自分(アタシ)に、深いため息をつく。


「アンアンッ!」


すると、子犬がその名前を気に入ったと言わんばかりに、尻尾をブンブンと振った。


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