群青の月
「ごめん、冬夜はダメ……。呼ぶ度に泣きそうになるから……」


いつの間にか、あたしは随分と弱くなってしまったみたい。


名前を口にするだけで鼻の奥に鋭い痛みを感じて、すぐに視界が滲んでしまう程に…。


そんなあたしの事を心配してくれているのか、子犬が頬をペロペロと舐めて来る。


「大丈夫だよ……」


膝の上で抱き直して、真っ白な体を撫でる。


「名前、考えなきゃね……」


呟いたあたしを余所に、子犬はあたしが持っていた買い物袋を前足で突(ツツ)いて、中を漁るようにガサガサと袋を引っ張った。


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