群青の月
驚いて立ち止まった俺に気付いた相手も、ハッとしたように息を呑んだのがわかった。


俺は前の仕事柄、一度覚えた人の顔を忘れたりはしない。


ましてや、大切な人の知り合いだったら尚更…。


「あなた、確か……」


「崎本です。……吉岡さん、でしたよね?」


どこか気まずそうな顔で頷いた吉岡さんを見て、直感する。


彼女は、柚葉が今どうしているのかを知っているか、もしくは柚葉自身から何か聞いているんだと…。


「ここで働いてたのね。私も、今日はさっきまでここで清掃の……」


「吉岡さん」


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