群青の月
俺の言葉に何かを感じたのか、吉岡さんは黙り込んでしまった。


一瞬だけ訪れた沈黙を、迷わずに破る。


「吉岡さん、お願いします。もし、柚葉の事で何か知ってるなら教えて下さい。どんな些細な事でもいいんです……」


必死に訴える俺を、吉岡さんが困惑顔で見つめて来る。


「何も言わずに出て行った柚葉と、せめてもう一度だけ会って話がしたいんです……」


俺に残された頼みの綱は、きっと彼女だけ…。


だから…


ここで吉岡さんから何か聞き出さなければ、柚葉とはもう本当に会えない気がしたんだ…。


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