群青の月
眉を下げていた吉岡さんが、何かを決心するように息を小さく吐いた。


「柚ちゃんは……」


意味深にそこで言葉を止められて、思わず背筋が伸びてしまう。


再び訪れた、重い沈黙。


そんな雰囲気の中で緊張しながら続きを待っていると、吉岡さんは俺の瞳を真っ直ぐ見つめた。


「あなたといるとつらい、って……」


その奥に込められた本当の理由を知らない俺は、彼女の口から出た言葉を鵜呑(ウノ)みにして、思わず唇を噛み締めた。


だけど…


この胸の痛みがどれだけ強くなっても、俺は柚葉に会いたいから…。


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