群青の月
深呼吸をしてから、ゆっくりと口を開く。


「もし、柚葉がもう俺の事を好きじゃないのなら、潔く諦めます……。でも……」


話を静かに聞く吉岡さんの瞳が、俺の本心を確かめているみたいだった。


「もし、柚葉がまだ俺の事を好きでいてくれるなら……。俺は、柚葉を守りたい……」


「あなたは、柚ちゃんの事が本当に大切なのね……」


一つ一つの言葉を噛み締めるように零せば、真っ直ぐな眼差しとともに返って来た言葉。


俺はため息をついた後、眉を寄せながら微笑んだ。


「俺が愛せるのは、もう柚葉だけですよ」


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