群青の月
「そうね……。あなたと柚ちゃんは、たぶんよく似てるんじゃないかしら。二人とも、何だかすごく不器用みたいだし」


「そうかもしれません……」


自嘲気味な笑みを見せると、吉岡さんがフワリと笑った。


「最後に会った時、だし巻き卵の作り方を訊かれたんだけど……。もしかして、それもあなたの為かしら?」


その疑問に思い出したのは、柚葉がまだいなくなる前の事…。


だし巻き卵を作って欲しいと言った俺の言葉を、彼女はちゃんと覚えてくれていたんだ…。


俺は切なさを堪えながら小さく笑って、吉岡さんに頷いた。


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