群青の月
「……俺、行きます」


「えっ?今から?」


「1秒でも早く、柚葉に会いたいんです」


驚く吉岡さんにキッパリと返すと、彼女がフッと微笑んだ。


「柚ちゃん、きっと喜ぶわ。不器用な子だから、素直に喜んでくれないかもしれないけど……」


「そうですね……。でも今度会えたら、もう離したりしません」


決意を口にすると、吉岡さんが笑顔で頷いた。


「頑張ってね」


俺は優しく笑う彼女に頭を深く下げた後、一旦オフィスに戻った。


それからカバンを乱暴に手に取って、転がるように会社を飛び出した――…。


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